立山ルートは中部山岳国立公園内の山岳観光ルートで、ほぼ全区間が国有林内にある。亜高山帯・高山帯での緑化には多くの手間と世代を越えた時間が必要であり、事業の継続にはアクセスしやすい形での情報の整理と共有が求められるが、これまでの紙ベースによる記録から広範にわたる緑化事業を俯瞰することは難しい。そこで、GISを用いてこれらの情報を整理し、現状を踏まえつつ課題を探った。
立山ルートでの人為的攪乱には登山道、道路、施設等、そして緑化それ自体などがある。道に関してはその距離が直感的な指標となるが、近代以前からの登山道で現在の登山道と重複した区間を除く廃止区間は39.8km前後であり、その大半は緑化されず、一部では浸食の進行が見られる。自動車道路では廃止されたジープ道が総延長8.2kmに及び緑化されている。一方、面的に広がった攪乱地のうち、立山トンネル建設に伴う作業場とズリ捨場は5.5haに及び、高標高の厳しい環境のため一次緑化未達成の箇所がある。道路沿線の土捨場は約5.7haあり、その多くで肥料木による一次緑化が完了し、一昨年、最終目標に向かって誘導する二次緑化が開始され、今後の事業を牽引していくことが期待されている。