日本森林学会大会発表データベース
第132回日本森林学会大会
セッションID: B13
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学術講演集原稿
観光資源の評価と誘客力に関する一考察
*寺崎 竜雄
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抄録

1972年に(財)日本交通公社が公表した「全国観光資源台帳」は、日本国内から8,117件の観光資源を抽出し、各資源種別に分類するとともに、誘致圏域などを基準に特A級、A級、B級等のランクを設けて各資源を評価している。その後、この台帳は観光レクリエーション適地の選定、地域の観光計画や広域観光ルートの設定等、観光振興の現場で活用されてきた。これまで資源評価の結果に対する見解は散見されてきたが、評価基準とした誘致圏域や誘客力を検証する研究は見当たらない。そこで本研究では、「全国観光資源台帳」の観光資源評価基準の適正性の考察を目的とし、実際の観光旅行訪問者数との関連分析を試みた。その結果、都道府県ごとのB級以上の観光資源数と旅行者数は、相関係数が0.81という強い相関を示した。また、ランク別の相関係数は、A級とB級ともに同程度の高い値であった。一方で、資源種別ごとに旅行者数との関連をみたところ、それぞれの相関係数は大きく異なった。これらをもとに「全国観光資源台帳」による資源評価は都道府県程度の広がりをもつ地域の包括的な誘客力に寄与するが、評価ランクは各資源の誘客力と一律に結びつくものではないこと等を考察した。

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