主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第134回日本森林学会大会
回次: 134
開催地: 鳥取大学によるオンライン開催
開催日: 2023/03/25 - 2023/03/27
戦後造成した人工林が本格的な利用期を迎える中、複合林産型の林産業により林業や地域の再生に取り組む自治体や企業がみられるようになった。鳥取県日南町は2017年に林野庁から林業成長産業化地域創出モデル事業に選定され、木材カスケード計画を基軸とする新たな循環型林業の創造のための取り組みが進められてきた。本研究はモデル事業の総括会や聞き取り調査を基に、木材カスケード計画を中心とした事業の実態と展開要因を分析した。
日南町の木材総合カスケード利用が展開した要因は次の点が考えられた。森林木材団地が整備されたことで他県に流れていた材も地元加工ができるようになり、ABCD材すべての供給先を1団地に整備したことで材の価格等の情報が集約化され出荷先選択が正確になったこと。団地内にあるLVL工場の扱う原木の約8割は日南町産であることに加え、LVL製造で発生した端材は自社工場で熱利用されていること。地域再生計画やモデル事業に認定されることで、自治体の財政問題をカバーすることができたことである。