抄録
高齢者健康診断システムでは,問診に対する返答を"はい","いいえ"の2値で求める.しかし,医師が行う問診では,結論に至るまでにいくつかの対話がなされ,必ずしも2値で返答されるとは限らない.本論文では,複数の発話文から相手の発話意図を判断するために,真偽疑問文に対する返答発話の肯定/否定意図の抽出を試みた.特に会話文で使用される単語を副詞,感動詞,直接・間接表現述語に分類し,これらの語に対する肯定値を質問紙調査により求めた.さらに,文末表現において変化する肯定値の変化を示す式を定義した.また,真偽疑問文1個について生じる対話中で,結論としての肯定/否定意図を総合的に決めることを可能とした.本手法の有効性を検証するために,高齢者健康診断システムのインタフェース部分に適用した結果を報告する.