日本ファジィ学会誌
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確信度を基にした類推表現の一提案
畑 豊大和 一晴
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1994 年 6 巻 2 号 p. 284-293

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抄録
われわれの周りに存在する情報のほとんどは, 曖昧, 不確か, 漠然等で表される不完全な情報であり, 人の思考や推論においてもしばしばこのような情報が取り扱われる.本論文ではこのような情報を取り扱う類推システムの1つとして, MYCINで見られる確信度を用いた推論法と類推法を提案する.真理値の集合としては[0,1]を用い, 真理値は可能性を表すものとする.我々は含意A→Bの仮定Aと結論Bには密接な関係が存在すると考え, 含意A→Bに確信度cfを与え, AとA→Bの推論結果を前提の真理値T(A)とその確信度cfの積として導く.次に「類似した原因は類似した結論を導く」という基本仮定に従った変換類推モデルについて述べる.この類推は, 我々が目標としている事実と同じ対象内にある既知の知識を変換することにより新事実を発見するものであり, 前提と規則の仮定部の事実間の類似性を表す対応付けを用いることにより可能となった.最後に異なる経路から導き出された同一の結論を結合する方法について述べる.これは各々独立した原因から得られた結論を統合した場合, その結合後の確信度は上下幅を持つという考えに基づくものである.この結合規則は可能性の程度を結合するのに適する規則である.
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© 1994 日本知能情報ファジィ学会
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