機能水研究
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酸性電解水の殺菌基盤としての化学的要因の分析
土屋 桂堀田 国元
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2003 年 2 巻 2 号 p. 75-80

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抄録

NaCl水溶液の隔膜電解で生成させた強酸性電解水と、NaCl、HCl、NaClOを純水に溶解混合して調整した強酸性電解水模擬液[いずれも有効塩素濃度41.0mg/L、pH2.8、酸化還元電気(ORP)1.36V vs. SHE]、および両液を原液として有効塩素濃度(ACC)とpHを変えて調整した液を試験液として、物性変化の把握と殺菌試験(4×106cfuを含む枯草菌液25μLを5mLの試験液に5分間混合)を行って酸性電解水の殺菌基盤について検討した結果、以下のように整理ができた。ACC、pH、ORPのいづれも実質的に変化しなかった。2)殺菌活性は、HOCl態有効塩素濃度と相関し、酸性電解水と模擬液との間で殺菌特性の基本的違いはなかった。これらのことから、3)主な殺菌基盤はHClO態の有効塩素である。4)pHは、有効塩素中のHClO態の存在割合を決める形で間接的に影響し、直接的影響は小さい。5)ORPは、直接的殺菌要因にはならない。6)ヒドロキシルラジカルは、HClOや過酸化水素から生成し、殺菌機構的には直接的殺菌因子として作用しうると考えられるが、起点における支配因子ではないと判断される。

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© 2003 日本機能水学会
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