2015 年 2015 巻 29 号 p. 29_1-29_21
中国初期庭園における先行研究は主に文献史料を引用してその様相を描こうとしたが、現存する明清以降の庭園と文献史料の関連記録から初期庭園の有様を推測し、中国の庭園は初期から自然風の山水園であったと主張する傾向が強い。そこで、本稿では中国初期庭園の発掘遺跡を中心とし、補助的に当時の文献史料や絵画資料とも対照した。その結果、中国の初期庭園では、人工美と秩序を重んじた幾何学的デザインが主流であること、園池に用いられた曲尺形の意匠は王室庭園だけに許された様式であること、中国の古代庭園における直線的護岸の園池は、中国固有の起源を持つものであること、が明らかになった。