日本庭園学会誌
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論文
中国禅宗寺院で詠まれた題詩と「境致」の関係
平出 美玲
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キーワード: 禅宗寺院, 境致, 十境
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2015 年 2015 巻 29 号 p. 29_23-29_47

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抄録

日本の禅宗寺院で伝統的に選定が行われてきた「境致」や、それに伴って詠まれた「十境詩」は、南宋五山制度を導入した時に中国禅宗文化の一つとして日本でも知られるようになったと考えられている。これまでに成された「境致」に関する先行研究でも、中国禅宗寺院の影響を受けて日本でも「境致」選定や「十境詩」作成が行われるようになったという解釈がされている。そこで本稿では中国で編集された地方誌『中國仏寺志彙刊』を史料とし、中国に於ける「境致」選定や「十境詩」の実態を調査・整理した。それにより、これまで漠然と中国禅宗寺院と考えられてきた「境致」選定の起源を、より明確にする事ができると考えた。その結果、日本で編纂された、『扶桑五山記』や『和漢禅刹次第』に記載されている「中国禅宗寺院の境致」とみなされている題が、中国で編纂された『中國佛寺志彙刊』の内容とは一致していないことが明らかになった。

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