地学雑誌
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表紙
火星のタルシス高地からアラビア高地にかけての俯瞰図
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2008 年 117 巻 2 号 p. Cover02_1-Cover02_2

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抄録

 最近の探査により,火星に関する各種データの量が飛躍的に増加し,データの質も改善されてきている.この状況に対応して,惑星科学者たちはGISを火星の地形研究において重要なツールとして使用するようになってきた.
 この俯瞰図は,アメリカ航空宇宙局が打ち上げたマース・グローバル・サーベイヤー探査機搭載のMOLAと呼ばれるレーザー高度計のデータをもとに,GIS上で作成した.高度の誇張度は8である.タルシス高地は火成作用や構造運動,さらには過去に地表に多く存在したとされる水の証拠が豊富である.また,火星の地表のなかでも若い地質年代に区分される.太陽系で最大級の火山群やヴァリスマリネリスと呼ばれる巨大な谷,巨大洪水による侵食でできたとされるアウトフローチャンネル群などが,この俯瞰図でわかりやすく表示されている.手前に見えるアラビア高地は衝突クレーターが多数存在し,地質年代が古いと考えられている.
 アメリカ合衆国地質調査所,トレント・ハレ氏提供.
(文:小松吾郎)

© 2008 公益社団法人 東京地学協会
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