西太平洋に現存するオントンジャワ海台は,白亜紀に生じた地球史上最大規模の火成活動の産物であるが,その成因についてはいまだ不明な点が多い。海台縁辺部が水上に露出しているソロモン諸島・マライタ島には,海台形成後に生じたキンバーライト類似のマグマ活動により,海台直下に由来する多様なマントル捕獲岩が表層にもたらされており,大規模融解現象の発生機構やその起源物質を解明するための有用な情報源となる。地質温度圧力計の適用によると,各種捕獲岩の由来深度はモホ面直下(約60km)からリソスフェア最下部(約120km)に至ることがわかる。また由来深度に対応して,卓越する岩相や化学組成が系統的に変化する観察事実から,海台下リソスフェアの構造としてジュラ紀の海洋プレート直下に海台玄武岩を抽出した融け残りマントルが底付けされている様子が復元される。このことは,マライタ島に産する一部の捕獲岩はかつて地球深部に存在しており,温度・組成異常をあわせもつ「マントルプルーム」の構成物質として地表近傍へ上昇してきたことを示唆している。