2012 年 121 巻 2 号 p. Cover02_1-Cover02_2
北極圏スバルバール諸島(ノルウェー領)ロングイヤービェン市に1993年に設立されたスバルバール大学は,北極科学(地学,地球物理学,生物学,工学)の研究拠点として,地球寒冷圏の研究者や学生の活動を支えている.大学のある町はフィヨルドの最奥部に位置する.周囲の山々は山岳氷河に覆われ,その末端は町外れまで迫っている.ツンドラの地表は周氷河地形の宝庫であり,地下には厚い永久凍土層が存在する.写真背後の台地状の山(白亜紀~古第三紀の水平な堆積岩層からなる)を刻むカール地形の底には岩石氷河(舌状の地形)が発達し,年間約10cmの速度で斜面下方に動いている.
(写真・解説 松岡憲知 2010年6月16日撮影)