地学雑誌
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世界露頭百選(No.10)
グレイシャー・ベイ国立公園のシルル系にみる熱帯陸棚から盆地への側方堆積相変化
―アラスカの異地性地塊アレクサンダー・テレーン―
デビッド M. ローアロバート B. ブロジェット
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2013 年 122 巻 5 号 p. 905-911

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抄録

 米国アラスカ州南部のグレイシャー・ベイ国立公園は,シルル紀の熱帯域の大陸棚から深い盆地にかけて堆積した厚い地層と,そのなかでの連続的な堆積相変化を観察する上で絶好の場所である。グレイシャー・ベイの氷河で削られた見事な露頭には非常に厚いシルル紀の地層が広大に露出している。それらは化石を多産する浅い陸棚相石灰岩から深い盆地の泥岩相へと側方に堆積相が連続的に変化する様子を明瞭に提示している。これらの地層から産する化石(二枚貝や巻貝など)は,北米(ローレンシア)大陸の内部に産する同地質時代の地層からの北米固有の群集とは大きく異なっている。このような特異な化石群集を含むアレクサンダー・テレーンは,もともと遠方より移動してきて,二次的に北米西岸へ衝突・合体した地塊と考えられている。

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