地学雑誌
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論説
北海道南西部,洞爺火砕流堆積物の層序と岩相記載
─洞爺カルデラの形成過程─
後藤 芳彦鈴木 一也新谷 考志山内 敦貴三好 正晃檀原 徹東宮 昭彦
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127 巻 (2018) 2 号 p. 191-227

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抄録

 北海道洞爺カルデラは日本有数の陥没カルデラである。われわれは洞爺カルデラの形成過程を明らかにするため,洞爺火砕流堆積物(Toya Ignimbrite)の地質層序学的調査を行った。洞爺火砕流堆積物(層厚80~100 m)は,岩相の違いにより6つのユニット(ユニット1~6)に区分できる。最下位のユニット1は細粒な火山灰からなり,マグマ水蒸気噴火により形成された。ユニット2は火山豆石に富む厚い火砕流堆積物と火砕サージ堆積物からなり,大規模なマグマ水蒸気噴火により形成された。ユニット3は多数の薄いベースサージ堆積物とそれに伴う降下火砕堆積物からなる。ユニット4は小規模な火砕流堆積物からなり,粒径の大きな石質岩片(径 < 50 cm)を含む。ユニット5は軽石に富む厚い火砕流堆積物からなり,下部にラグブレッチャ(粒径 < 3 m)を伴う。ユニット6は軽石に富む火砕流堆積物からなる。ユニット1~6は土壌層や再堆積相を挟在しない。したがって,洞爺火砕流堆積物は時間間隙のない一連の噴火で形成されたと考えられる。各ユニットの組織,構成物,体積,石質岩片の岩石種などから,カルデラ陥没はユニット4の噴火で開始し,ユニット5の噴火でクライマックスに達した可能性が高い。ユニット1~6の軽石はすべて流紋岩質であり,一連の噴火はほぼ一定の組成のマグマ噴出により行われた。ユニット6はやや苦鉄質な軽石を含むことから,噴火の最末期にはやや苦鉄質なマグマも噴出したと考えられる。

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© 2018 公益社団法人 東京地学協会
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