地学雑誌
Online ISSN : 1884-0884
Print ISSN : 0022-135X
ISSN-L : 0022-135X
表紙
浅間山北麓嬬恋村におけるキャベツの収穫風景
ジャーナル フリー

2019 年 128 巻 2 号 p. Cover02_01-Cover02_02

詳細
抄録

 写真は,浅間北鹿の群馬延嬬恋村におけるキャベツの収穫風景である.嬬恋村はキャベツ生産量日本一の山村であり,第二次世界大戦後,夏冷涼な気候と東京大都市圏への近接性の向上により,都市市場へのキャベツの供給地として発展した.政府と群馬県は,農家の栽培面積を増加させるため,国有林を開発して農地を造成した.今日,嬬恋村の農家の平均耕作面積は4 haであり,大規模な農家の耕作面積は16 haに達している.嬬恋村における農地の分布は,標高900 mから1,400 m付近まで拡大している.嬬恋村の収穫期間は7月から10月までであるが,近年の温暖化によって収穫期間が長くなり,耕作地の立地標高も上昇している.キャベツ栽培は機械化が進んでいるが,収穫は人手を不要としている.しかし,農家が収穫期間に労働力を限定的に確保することは,日本の労働市場の構造から困難である.そのため,多くの農家におけるキャベツの収穫は外国人労働力に依存している.

(写真・説明:西野寿章 2015年8月22日撮影)

© 2019 公益社団法人 東京地学協会
次の記事
feedback
Top