地学雑誌
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論説
水月湖から掘削されたSG93およびSG06コア試料中の可視テフラ層の岩石学的特性
丸山 誠史竹村 恵二平田 岳史山下 透檀原 徹
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2019 年 128 巻 6 号 p. 879-903

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抄録

 本論文では,水月湖から掘削された2つのコア試料(SG93およびSG06)に含まれる可視テフラ層の,岩石学的特性に関して報告する。水月湖のテフラ層に含まれる鉱物や火山ガラスの屈折率,火山ガラスの形状,鉱物構成のような,基本的かつ重要な岩石学的特性は,これまで公表されてこなかった。水月湖コア試料のテフラ層は,九州のカルデラ(例えば阿蘇,阿多,姶良)を起源とするものと,西南日本の中国地方に存在する大山および三瓶火山を起源とするものに大別することができる。水月湖コア試料には,日本海上の鬱陵島を給源とする鬱陵–隠岐テフラ,三瓶浮布テフラと密接な関係がある阪手テフラ,そして給源火山が不明なスコリア層も存在していた。日本海で掘削されたコア試料から見いだされた山陰1テフラに対比された,水月湖コア試料のテフラ層は,岩石学的特性に基づくと,九州の九重カルデラから噴出した九重第1テフラとも対比可能である。岩石学的特性の記載はテフラ層の識別・対比に関して,火山ガラスの主要元素組成だけでは得ることのできない重要な制約条件を与える。しかしながら,いくつかのテフラ層の対比はいまだ曖昧さを残しており,種々の微量元素組成も含む火山ガラスの地球化学的データも,識別・対比をより厳密に行うために必要である。

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© 2019 公益社団法人 東京地学協会
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