地学雑誌
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東京都品川区の手押しポンプ付きの井戸
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2023 年 132 巻 2 号 p. Cover02_01-Cover02_02

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抄録

 本井戸は,東京湾西岸地域の沖積低地に位置しており,品川区には過去に生活用水として使用されていた手押しポンプ付きの井戸が多数残されている.本井戸の深さは,9.1 mであり,スクリーンの幅は不明である.本井戸は現在手押しポンプが故障中であり,そのためオレンジ色の布を被せている.

 東京都品川区の公共下水道普及率は99.5%(東京都下水道局1))にも関わらず,δ15N-NO3と窒素濃度を用いた混合解析(EMMA)結果,本井戸から採水される地下水には下水漏水の混入が示唆され,周辺の地下水と比較しても高いCl濃度を有している.一方,NO3濃度は低く(n.d. ~ 5 mg/L),HCO3濃度は高く(120 ~ 200 mg/L),ORPSHEは低い(50 ~ 200 mV)ことから,嫌気的な環境下における脱窒反応が生じていると考えられる(伊東ほか,2023).

(撮影:伊東優希;説明:李 盛源)

1) 東京都下水道局下水道100%普及達成年次表

 https://www.gesui.metro.tokyo.lg.jp/living/a2/spread/tasseinennzi/index.html [Cited 2023/1/28].

© 2023 公益社団法人 東京地学協会
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