2025 年 134 巻 1 号 p. Cover01_01-Cover01_02
写真は,日本の地域自然史系博物館の代表的存在の一つである大阪市立自然史博物館の展示室と収蔵庫,図書コーナーおよび講堂であるが,文化施設としての自然史系博物館の一例としてとりあげたものである.自然史系博物館の基本的な活動は,自然に関する標本・資料を継続的に収集して整理保管するとともに,調査研究を行い,その成果を研究発表や展示,普及活動を通じて広く社会に還元することである.博物館というと展示が注目されがちであり,バックヤードの収蔵庫に収められている貴重かつ膨大な標本・資料の重要性についての認知度は低い.収蔵庫に収められている標本・資料は,長年にわたり継続して収集されてきたもので,各地域の自然の証拠物であり,唯一無二のものである.博物館職員だけでなく,博物館を取り巻く人々の理解と協力により集められ,整理され,研究されてきたものであり,今後も継続されていく活動である.自然史系博物館の文化施設としての役割は,自然史の標本・資料を基本として,博物館の施設設備を活用して,自然史科学の普及を広めていくことにある.なお,掲載画像については佐久間大輔氏(大阪市立自然史博物館)にご協力いただいた.
画像提供:大阪市立自然史博物館(https://www.omnh.jp/ [Cited 2025/1/10])
(春山成子・斎藤靖二・平田大二)