戰事前まで参謀本部の地図として一般に知られて來た旧陸地測量部の5万分1地形図を初め, 各種の地図が, 終戦後は地理調査所から印刷発行されているという事は, 終職後3年余になる現在でも未だ余りよく知られていないよ5である。これは地理調査所が創設以來日も筒浅く, 且つ地図に関して積極的に普及宣傳をしながつたためであるが, 新しく文化國家として再発足した日本の発展の爲には, 文化財としての地図の債値は極めて大きく, 行政上はもとより鉄道敷設, 耕地整理都市計画に, 或は又, 土木, 治水に, その他資源簾発地理歴史の研究にと, 精密な地図の必要は益々増加しなければならない。これからの地図の需要は無限といつても敢えて過言ではないと思うので, こゝに現在地理調査所の地図の整備状況に就いて簡單に紹介してみたい。