地学雑誌
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38.1 豪雪によせて
日本の雪の研究の現況と問題点
福井 篤
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1964 年 73 巻 1 号 p. 1-10

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抄録

今日, 雪氷学と称せられる分野において, 氷の結晶の問題から, 積雪・融雪の物理学的問題に至るまで, 学問的体系をととのえてきたのは, 最近ほぼ10年位の進歩によるものであろう。氷の結晶, 雪の結晶及び降雪現象については, 雲物理学の進農も含めて純基礎的学問の分野で進められてきたが, 積雪現象については, 従来主として応用科学的に取扱われ, 特に産業分野における防災対策上の問題として研究が進められてきた。
特に, 多雪による大災害の発生を見ると急速にその対策研究が要望され, 昭和9年, 11年, 15年等の大雪年の際は, 農林業・鉄道などの被害が大きく, これらの分野では, 積雪による直接災害に対する対策に必要な調査研究が個々に行なわれるようになった。戦後に至ってやや暖冬の傾向にあった時期においては, 雪に対する研究調査の必要性は, 世間的に認められるところではなかったが, 産業構造の発展によって, 各分野における積は的な対策研究が進められたほか, 積雪現象の純学問的な取扱いがなされるようになってきた。近年に至り, 両者の歩み寄りが次第に深まりつつあるときに当って, 昭和35~36年の新潟における豪雪, そして今回の北陸地方から西日本一帯を襲ったいわゆる38。1豪雪となった。従来の産業分野における十数年にわたる対策研究も相当の効果があったにもかかわらず, 再度大災害をまねく結果になった。このため, 雪害対策について再び大きな話題を呼び, 多くの対策研究の再検討と同時に雪 (この場合降雪積雪現象を対象として) そのものに対する基礎的研究の必要性が論ぜられるようになった。しかしこのことを論じるに当っては, 特に38.1豪雪に際しての災害の実態が何であったか, また今日の雪に関する基礎的研究がどのような現状にあるかを見はめなければならないであろう。
38.1 豪雪による災害の実態については, 各方面で調査が試みられ, それぞれの分野における被害の様相が発表されているものもあるが, 相互の関連性についての究明がなされていない面もあり, 真の意味の災害の様相がつかみにくい。また一方一般的に雪害というものがどのような形態で発生するかについてもいままで総合的に調査されたものが少なく, 社会科学に立った対策に至っては全く未開発の問題にもなっている。これらの点も考えて, 現在雪国のおかれている地理的社会的条件と雪との相互関係及びこの問題を解決する基礎的な雪そのものに関する研究との連繋について考える必要があろう。このような意味において, 雪に関する研究調査の現況と問題点を述べてみたいと思うが, 積雪学という立場における理論的発展過程については, 本誌の吉田順五先生によって詳しく述べられておるので, ここでは, 主に雪害の防災的見地に立って述べることにしたい。

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