地学雑誌
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Tephrochronology による富士火山とその周辺地域の発達史
第四紀末期について- (その2)
町田 洋
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1964 年 73 巻 6 号 p. 337-350

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抄録

この報告でのべたことは次のように要約される。
富士火山の洪積世における活動は, 山麓に分布する降下火砕物を鍵として, 編年することができる。そのためにはまず, 降下火砕層を堆積の不連続を示す事実によつて区分し, 古代人類遺物の層位とC14年代資料とを時代決定の有力な手段として用いた。次に, 火山体を構成する熔岩流や火砕流堆積物などと, 編年された降下火砕層との層位関係を明らかにした。これらによつて降下火砕層の代表する諸活動期における活動の特色と変遷および地形発達史を知ることができた。編年の結果は第2表の右らんに要約される。この編年によつて, 富士火山の活動吏は, 爆発的活動により特色づけられる古期第1期, それにひきつづき多量の熔岩が噴出し, 火山本体がつくられた古期第II期, および長期にわたる活動静穏期をへだてて山腹上部と寄生火山を作つた新期活動期に分けられた。
そのほか, 沖積世における, 箱根火山の活動と, 酒勾川の河岸段丘形成について, 編年を行ない, また関東西南部のローム層のいわゆる表土が, 沖積世の富士火山灰の土壌化したものであることを明らかにすることができた。

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