地学雑誌
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潮間帯における生態学と堆積学
Aktuo-PaläontologieおよびAktuo-Geologie
早坂 一郎
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1964 年 73 巻 6 号 p. 351-365

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抄録

これは, わが国でも古生物学や地質学の世界の研究者達の中にはすでに周知と思われる, ドイツの異色ある研究機関 Senckenberg - am - Meer の創唱者 Rudolf RlcHTER 教授のいわゆるFlachseebeobachtungenzur Paläontologie und Geologie の2つの, しかし緊密に関連する主要な課題である。Frankfurt a.M にある有名な自然史科学博物館の一大研究所 Senckenberg-am-Meerは, 北海の一角Wilhelmshafen につくられた, Wattenmeer (tidal sea : 干潟) における堆積現象や生物の生活活動などを観察, 研究することを目的とするものである。海岸線に富むわが国でも, 当然考慮されなければならなかつた問題であるが, 今日まで割合に閑却されていたように見える。近頃は世の中もいくらかおちついて来, 学問もいろいろな面で盛んになつて来つつあるので, この干潟における自然観察という仕事も, 計画的にすすめられる時期であろうと思う。特に諸方面の研究者の数も多くなり, 以前のように手がたりないという嘆きは, かなり緩和されたように考えられる。
そこで, この干潟における自然観察とその研究所の性格を知るために, いささかその史的展望を試みよう。

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