2015 年 10 巻 2 号 p. 201-211
堆積構造や鉱物粒子の配列方向に応じて岩盤は異方的な力学特性を持つ。従来,このような岩盤の異方性は,方向を変えてサンプリングした複数の岩石供試体の三軸試験により調査してきたが,労力や時間,コストの観点で効率的ではない上,異方性の卓越方向を必ずしも特定できなかった。これに対して本検討では,堆積岩など面内等方性を仮定できる異方性岩盤の変形特性を,1回の試験で特定する三軸試験の方法を提案する。理論解析の結果,提案方法は等方圧密時の主ひずみ方向から異方性の卓越方向を特定するとともに,等方圧密時と軸圧縮時の応力とひずみの関係から面内等方弾性体の5つの弾性パラメータをすべて特定できることが示された。