砕・転圧盛土工法は老朽化したフィルダムやため池の堤体改修(耐震補強,漏水防止)を,貯水池内の底泥土をセメント系固化材により固化改良した築堤土,いわゆる砕・転圧土により行うもので,これまでに12事例に適用されている。この工法は,所要の強度と遮水性を有する築堤土が人工的に準備できるため,既設堤体に砕・転圧土ゾーンによる腹付け盛土あるいは押え盛土を急勾配法面で行えるものの,堤体改修ゾーニングにおける砕・転圧土ゾーンとこれに隣接する既設堤体の間に極端な強度差が生じないことが必要である。本稿は砕・転圧盛土工法による堤体改修において,砕・転圧土ゾーンと隣接の既設堤体の間に極端な強度差が生じないように,砕・転圧土により改修した堤体全体の破壊モードを再現した分割載荷型一面せん断試験により砕・転圧土ゾーンの強度における許容値について検討した結果を報告する。