2016 年 11 巻 1 号 p. 1-9
砂質量に対する炭酸カルシウム析出率が2~3%という条件のもとで,微生物の代謝活動を利用した固化技術の液状化対策としての有効性に着目した。陸域および海域から単離された既知のウレアーゼ活性陽性微生物(B.pasteurii,S.aquimarina)と東日本大震災で液状化被害を受けた地盤中に既に生息している微生物を対象とし,ウレアーゼ活性を考慮した固化試験を行うとともに土の繰返し非排水三軸試験によって液状化強度を求めた。以上の検討により,1)原位置に既に生息している微生物由来のウレアーゼにより,砂の間隙中に炭酸カルシウムの結晶を析出させる効果が期待できる,2)尿素の加水分解速度にあわせて適切な固化溶液の添加時期を決定することでウレアーゼ活性陽性の微生物を用いて一定量の炭酸カルシウムを析出できる,3)ウレアーゼ活性陽性の微生物を用い,砂質量に対して2~3%の炭酸カルシウムを析出させることで液状化抑制効果が期待できる,ことが明らかになった。