地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
論文
地震などの動的外力とプレート沈み込み運動を受けるデコルマの力学挙動に関する数値実験
栗本 悠平山本 由弦阪口 秀小枝 幸真張 鋒
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2016 年 11 巻 4 号 p. 353-363

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抄録

地震発生機構の解明を目指す情報取得技術は,近年大きな進歩を遂げている。しかしながら,海溝型地震発生帯の形成やその規模に関連するプレート境界断層(デコルマ)の起源や初期形成過程に関する研究は,まだ数少ない。我々は,室戸沖南海トラフの深海掘削調査で得られたデコルマの特性に着目し,その初期形成過程で支配的な役割を果たすのは,「プレート沈み込み運動に伴う静的せん断変形ではなく,地震などの動的外力である」と仮説を立て,室内要素試験と数値実験の両面からこの仮説を検証している。本稿では,南海トラフの海底岩盤をモデル化し,二次元有限変形FEM解析を用いた数値実験により,デコルマの形成過程を再現した。その結果,海底岩盤に動的荷重が作用すると,プロトデコルマは粒子配列を維持したまま圧縮挙動を示し,地震などの動的外力がデコルマ初期の形成主因である可能性を示唆した。

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© 2016 公益社団法人 地盤工学会
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