地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
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論文
アースドリル工法で用いる掘削安定液に含まれる懸濁物への重金属等の吸着に関する研究
中村 光男勝見 武
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2017 年 12 巻 1 号 p. 1-17

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抄録

土壌・地下水汚染の存在する地盤に杭を計画する場合,杭は汚染土層とその下の難透水層を貫通して支持層に達するが,このような杭の施工によって難透水層の下部の帯水層に汚染物質を拡散させるおそれがある。汚染物質の拡散を防止するための杭工法は,いくつか実績があるものの合理的な工法として確立されていないのが現状である。そこで,アースドリル工法で用いる安定液に含まれるベントナイトなどの懸濁物に重金属を吸着させ,汚染物質の拡散防止を図る工法について実験的に検討をおこなった。その結果,アースドリル工法で用いる安定液に含まれる懸濁物は,鉛に対して高い吸着機能を有することが明らかになった。また,安定液に吸着材を添加し適切な施工管理を行えば,ヒ素,フッ素,鉛に対して高い吸着機能を持たせることが可能であり,自然由来程度の汚染土壌であれば,この安定液の適用が汚染物質の拡散防止対策となる可能性を示した。

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© 2017 公益社団法人 地盤工学会
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