尿素分解型バイオグラウトを用いたシリンジ固化試験に対し,固化反応に関する現況再現解析ならびに再現精度向上のためのパラメータ調整を実施した。ウレアーゼ活性試験に基づく再現解析で得られた,尿素分解菌Pararhodobacter sp. strain SO1の尿素分解反応の反応速度定数は1×10-8 mol/mg/sec,半飽和定数は0.635 mol/Lとなった。鉱物析出解析の結果より,実測と解析の析出鉱物を整合させるために,カルサイトのみが析出する設定とした。シリンジ固化試験再現の逐次解析において,反応に寄与する微生物量を考慮した「調整指数」の導入により,排出されるCa2+濃度の変化を再現できた。以上の結果は,尿素分解型バイオグラウトのカルサイト析出に関わる微生物反応シミュレーションを実施することによって,施工時の強度発現の予測や施工管理が可能であることを示している。