明瞭な斜面の滑動を示す地形的な特徴が認められない岩盤斜面は,降雨などに起因して大規模な崩壊を起こすことがある.このような斜面の内部には,すべり面が形成される以前の抵抗体が残存することが確認されている.本研究では,大規模崩壊の変形メカニズムを明らかにすることを目的として,実際に現地観察された事例をもとに抵抗体とその位置をモデル化した2ケースの遠心模型実験を行った.遠心力載荷に伴う模型斜面の変形を詳細に観察した結果,内部の抵抗体近傍に変形が集中し,その位置に応じて明確に異なる崩壊挙動を示すことがわかった.また,模型斜面の表面変位は,いずれのケースにおいても斜面中腹が局所的に変形し,はらみだすこともわかった.