2020 年 15 巻 4 号 p. 683-695
筆者らは応力よりも直接的に液状化を支配する物理量として累積損失エネルギーに着目し,それと直結する累積ひずみエネルギーを地震上昇エネルギーと比較することにより簡便に液状化判定できるエネルギー法の手順を既に提示し,広範な地震動を対象とした適用例によりその有効性を示した。ここでは上昇エネルギーが定量化できる本方法の特徴をさらに生かし,既提案法で液状化すると判定された各層にエネルギーが均等に配分されると考えることで,複雑な有効応力動的応答解析に依らずとも,発生するせん断ひずみだけでなくそれに直結した体積ひずみや地表沈下量が計算できる評価手順を開発した。これを上記エネルギー法で既に検討した仮想均質地盤や既往液状化地盤に再度適用したところ,弱い層へのひずみの集中化が評価されると共に実測値とほぼ整合する沈下量が簡便に計算できることが分かった。