令和元年東日本台風(台風第19 号)に代表されるように,今後も,気候変動等に伴い洪水被害がさらに頻発化・激甚化することが考えられるため,越水に対し粘り強い構造の堤防を整備し,被害を軽減することが求められている.これを具現化する技術の1つとして鋼矢板二重壁を用いた自立型構造が挙げられるが,越水に対する抵抗機構や越水開始~終局状態までの時系列的な変化については明らかになっていない.そこで,鋼矢板の仕様(根入長さおよび剛性)をパラメータにした模型実験により越水時に鋼矢板二重壁や隣接する地盤に生じる変化を計測し,抵抗機構を分析した.また,越水時の洗掘深さを踏まえた実質的な壁高と鋼矢板の仕様が変形の程度に与える影響について整理することで,越水時における鋼矢板二重壁の限界状態の設定に寄与する結果を得た.