2007 年 2 巻 2 号 p. 73-86
筆者らは補強土壁の壁面部分に改良土を配置しジオグリッドと組み合わせる補強土工法の開発を進め,ここ数年で適用事例も伸ばしている。しかし,耐震性能に関しては未解明な部分が多く課題となっていた。そこで,本工法の耐震性能を把握することを目的として遠心模型振動実験を行った。その結果,従来のジオグリッドのみによる補強土擁壁や,改良土のみの擁壁と比較して高い耐震性を示すことが分かったが,最終的に改良土壁内にクラックが発生し破壊に至る可能性があることが分かった。このクラックは壁面パネルからのアンカーとジオグリッドを補強土壁内でオーバーラップさせることによって抑制できた。また,改良土に短繊維を混合することにより,引張り破壊後の残留強度の落ち込みを抑えることが出来,クラック発生を抑制できることが分かった。