地盤工学ジャーナル
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論文
高炉水砕スラグを用いた低置換率SCP改良地盤の強度・変形特性
水野 健太土田 孝
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2008 年 3 巻 3 号 p. 187-202

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抄録

高炉水砕スラグをサンドコンパクションパイル工法の置換材に用いる場合は,潜在水硬性に代表される高炉水砕スラグの力学特性や透水特性の経時変化を考慮し,杭と杭間粘土の応力分担特性を適切に評価した設計が重要となる。本研究では,海砂と高炉水砕スラグが同じ条件で使用された施工事例に対して有限要素法による二次元地盤変形解析を適用し,置換材の力学および透水特性が,杭間粘土の強度増加特性,改良地盤の応力分担特性や変形性状に及ぼす影響について検討した。その結果,解析により求められた応力分担比nは,砂杭の場合でn=3~4,スラグ杭の場合でn=8~11となり,スラグ杭を用いた場合は砂杭を用いた場合よりも地盤変形量が1/3に大幅に低減されることがわかった。また,解析から求めた非排水せん断強度は,原位置サンプリング試料による一軸圧縮強度quから求めた非排水せん断強度cu=qu/2の深度分布と概ね一致することを確認した。さらに,非排水せん断強度に及ぼす高炉水砕スラグの透水性の影響は小さく,変形係数や潜在水硬性によって発現する粘着力の影響が大きいことがわかった。

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© 2008 公益社団法人 地盤工学会
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