抄録
地球温暖化に伴う海面の上昇は世界平均で今後100年間に59 cmと予測されている。この海面上昇が生じると海水が河川を遡上することが予想され,河川下流域に位置していた汽水域が上流側に拡大することが考えられる。このような事象が生じた場合,重要な社会基盤施設の一つである河川の堤防や高水敷・河岸に影響を及ぼすことが考えられる。地球温暖化が日本の社会基盤施設に及ぼすであろう影響程度を定量的に評価することは極めて困難なことではあるが,何らかの根拠を持って,その影響を定量的に把握し,地球温暖化問題に対する具体的な対応策や政策に反映させなければならない状況にある。そこで本研究では,河川を対象として,簡易な方法で地球温暖化による海面上昇の影響を想定し,海面上昇に伴う堤防や高水敷・河岸の構成土質材料への物理的影響を推察する。