2009 年 4 巻 3 号 p. 233-244
本論文では,京都府北部にある砂丘斜面の安定性を評価した事例研究について述べている。まず,現地測量,ボーリング調査,標準貫入試験,室内物理試験,表面波探査および密度検層から砂丘斜面の現況を把握した。次に,砂丘を鉛直に掘削したときの限界高さ,地山のサクション測定,室内一面せん断試験,室内ベンダーエレメント試験,等の各種試験を実施し,斜面の安定性の評価に必要な地盤の物性値を求めた。これらの結果を用いて,無限長すべりを仮定した極限つりあい法による安定解析により,斜面のすべり安定性を評価している。一連の調査より,当該斜面ではセメンテーションのないきれいな砂がゆるい状態で堆積しており,わずか数kPaのサクションが斜面の安定性に大きく寄与していることが分かった。