斜面に存在する岩塊を安定化させるために用いられるロープネット工に関する維持管理の課題を解決するため,現地調査,素線のめっき量調査および腐食ロープの引張試験を実施した。現地調査の結果,ロープネット工には,さびによる腐食が発生しやすく,それらはワイヤーロープが立木や地表面に接している箇所に発生しやすいことがわかった。素線のめっき量調査結果から,良好な山林環境におけるワイヤーロープ部材の耐用年数は100年以上期待できることがわかった。また,腐食ロープの引張試験結果から,ワイヤーロープの寿命曲線を提案し,腐食しやすい箇所は施工後20年程度でワイヤーロープの部材を交換しなければならないことがわかった。以上のことからロープネット工施設は,適切な維持管理により腐食部材を順次交換することにより,30年程度と考えられていた施設の耐用年数を大幅に延ばすことが可能である。