本研究では一般に用いられている飽和土用の三軸セルのキャップとペデスタルの改良ならびに2基の三軸セルの利用によって不飽和土の三軸圧縮試験が行える実用的な試験装置を開発した。そして開発した試験装置の種々の精度検定を行い,一般的に用いられている三軸圧縮試験装置を少し改良するだけで不飽和土のせん断特性が論議できることを示した。さらに,この試験装置を用いて,締固めたマサ土の低拘束圧状態でのサクション一定排水せん断試験を実施した。そして測定したせん断強度と,ÖbergとSällforsが提案している方法で推定したせん断強度とを比較した結果,設定した条件の中で以下の知見を得た。
1) ÖbergとSällforsが提案している従来の予測法では,本装置で測定したせん断強度よりせん断強度を低めに見積もることになる。そしてその差はサクション変化によるダイレイタンシーのせん断強度への寄与分の差と,湿潤過程におけるサクション0の不飽和ケースの粘着力と飽和ケースの粘着力の差で構成されている。
2) 従来の方法で推定したせん断強度と本装置で測定したせん断強度との差の影響は湿潤過程にある盛土の安定解析上,無視できない。