心身健康科学
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原著論文
二次予防事業対象者における転倒リスクと身体機能・高次脳機能・生活機能との関連性の検討
久保田 智洋黒川 喬介鍵谷 方子
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2017 年 13 巻 2 号 p. 51-61

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抄録

本研究では,介護予防の観点から要介護の恐れのある地域高齢者における転倒リスクとその身体および高次脳機能,さらに生活機能との関連性を明らかにする目的で調査を行った.対象は,二次予防事業対象の高齢者45名とし,転倒リスクおよび身体・高次脳機能評価,生活機能と転倒恐怖感の調査を行った.その結果,転倒リスクの高まりは,身体機能面で動的および静的バランス能力・歩行スピードの低下,高次脳機能面で,認知機能および注意機能(選択性)の低下,生活機能面で,転倒に対する注意の強さ,趣味活動や家庭内役割の制限,階段昇降などの動作に対する転倒恐怖感の強さと関連した.さらに,転倒恐怖感の強さは,家庭内役割の有無に関連した.転倒経験者は11%であった.
二次予防事業対象者への転倒予防の取り組みには,身体および高次脳機能面だけでなく,転倒恐怖感を踏まえ,生活機能,特に家庭内役割や余暇活動への介入も必要である事が示唆された.

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© 2017 日本心身健康科学会
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