抄録
本研究は、新人訪問看護師から、幅広い視野で予測的判断をもち、多様な対象者に応じて医療・看護技術を応用し提供できる中堅訪問看護師への成長にかかわる経験とその様相を明らかにすることを目的とした。訪問看護事業所に勤務している中堅訪問看護師13名に訪問看護師としての成長につながったと感じている経験についての半構造的面接を行い、質的帰納的に分析した。
その結果、中堅訪問看護師への成長にかかわる経験として【訪問看護における失敗経験からの学び】【無我夢中で奮闘する中での価値観の変容】【先輩をモデルとして試行錯誤しながらの成長】【訪問看護師が安心できる環境の獲得】【専門職へのケアについての相談とその学び】【多職種連携の習熟】【理想の訪問看護実践過程の構築】【訪問看護の醍醐味の認識】の8カテゴリーが抽出された。訪問看護師は、新人の時期から主体的に考えながら課題解決し、自ら積極的にコミュニケーションをとって多職種連携を習熟していく成長過程を経ていた。したがって、自己の成長を確認し、承認が得られ、自ら設定した次の課題に安心して挑戦できる環境が、中堅訪問看護師への成長の基盤となるといえる。
