2008 年 4 巻 1 号 p. 89-94
【目的】A市の育児期にある女性の保健行動を明らかにし,女性の健康に関して助産師が担う役割を検討する為の基礎資料を得る。【方法】A市立保育園を利用する母親を対象として,健康状態,健診状況,受診行動と宗像の「予防的保健行動尺度」による質問紙調査を行った。【倫理的配慮】順天堂大学医療看護学部研究等倫理委員会の承認を得た。【結果】有効票は420(有効回収率30.8%)であった。年齢は30代が323人(76.9%)で多く,子供の人数は,1人が189人(45%),2人が168人(40%)であった。健康状態は,約8割が健康であり,健康でない者は,肩こり,疲労,腰痛,頭痛,イライラ等の症状があった。健康診断は7割以上が受けており,ほとんどが小児科のかかりつけ医を決めていた。また,日常生活行動では,7割以上が規則正しい食事や部屋の換気などに気をつけていたが運動している者が少なかった。【考察】A市の育児世代の女性は,ほとんどのものが健康を自覚しているが,健康でないと答えた女性は健康診断を受けていない者に多かった。これらのことから,助産師の役割として出産人院時に健康に対する認識を深められるような機会としていくなどの検討が示唆された。