日本家政学会誌
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小・中・高等学校の家庭科における発酵食品に関する教科書分析
―日本酒・酒粕の学習状況に焦点を当てて―
鳥居 優理香村上 陽子
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2021 年 72 巻 8 号 p. 529-542

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抄録

 我が国において, 酒や味噌などの発酵食品は重要な食文化の一つである. 日本酒は米と米麹から作られ, 調味料や嗜好飲料として用いられている. 酒粕は日本酒の製造過程で作られる副産物であるが, 漬物やみそ汁など様々な調理で使われており, 他の発酵食品同様, 和食を支えてきた. また, 副産物である酒粕を利用することは, 日本の「もったいない文化」の象徴である. これは, 学校教育で求められている持続可能な社会をつくるための取組みに繋がる. 本研究では, 現在行われている家庭科における酒や酒粕などの発酵食品についての学習状況と課題を把握することを目的として, 教科書分析を行った.

 小・中・高等学校, いずれにおいても, 発酵食品についての学習項目はあったが, 校種によって学習内容が異なっていた. 発酵食品について, 歴史や材料, 製法などに関する記述は少なかった. 特に, 酒やその副産物である酒粕についての記述はほとんど見られなかった. これらの結果から, 伝統的な食文化である発酵食品に関する学習内容を詳細にすることにより, 食文化に対する理解を促す必要があることが示唆された.

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© 2021 一般社団法人 日本家政学会
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