家政学雑誌
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食品添加剤としての縮合リン酸塩に関する研究 (第 1 報)
ビタミンCの安定剤としての効果について
平田 行
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1968 年 19 巻 3 号 p. 162-164

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抄録
1) V.Cの安定性はpHに関係があるといわれるが、縮合リン酸塩を添加した場合、必ずしもpHと一致しない。無添加のものがpH33で H.P.、 T.P.、 P.P.の混合物がpH3.7でも後者の混合物を添加した場合の方がV.C残存率は著しく多い。
2) 食品添加剤では添加量が絶えず問題になり、味、色、香りに影響するところ大である。U.P.を用いた V.Cの安定作用も500mg%前後が最も良結果を示したが、これはU.P.の加水分解の状態とV.Cそのものの還元性の強弱に関係があり、これについては目下追求中である。
3) V.Cが重金属、特にCu2+に対して安定性を欠く特徴があり、またU.P.、H.P.等は金属イオンの封鎖性が強く、特にU.P.はCu2+、Ca2+、Fe3+等に対して著しいキレート力があるので、V.Cの酸化促進がさまたげられ、残存率が多くなる。
4) 最近問題視されている市販レモン液はV.C以外の各種の添加剤が混入されているので、縮合リン酸塩との関係は複雑で簡単に論じられないかも知れないが、U.P.H.P.100mg%添加のものは残存率も高く、良結果が得られたのである。
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