家政学雑誌
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家族の近隣社会に対する意識について (第1報)
近所づきあいについて
久武 綾子
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1971 年 22 巻 6 号 p. 379-385

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抄録

以上、本報では家族と近隣社会との人間関係を私的な近所づきあいの面から調査し分析した結果、
1) 家族の交際圏 (近隣、親戚、職業、同窓、趣味、信仰) のうち、近隣づきあいの占める割合は、夫婦とも親戚づきあいよりは低い。
2) 本人の職業によって近隣づきあいの占める位置は異なり、近隣づきあいの多いのは農林漁業従事者である。
3) 新しく他の土地へ移住するときは誰しもあいさつまわりをし、その範囲は組内というのが70%あった。
4) 住宅地や団地の夫は、近所づきあいのない率が1/4もあるが、妻はあいさつ程度のつきあいが半数を占める。
5) 近所づきあいには友交的、相互扶助的、利害関係的な機能が含まれるが、その程度は地域により異なる。
6) 都市では、よその家庭に立ち入らない表面的な近所づきあいがされ、農山漁村では緊密なつきあいがされる。
7) 依存度の高いつきあいは山村漁村に多く、依存度の低いのは住宅、団地でこれは地域社会の果たす機能による。
8) 近所づきあいは深くなればなるほどその反面に煩わしさや不満が生ずる頻度は高く、これは農山漁村に多い。
9) 近所づきあいの型には協調型と不干渉型があり、前者は農山漁村に、後者はとくに団地に多い。
10) 近所づきあいの多い農山漁村でも、また、つきあいの少ない都市でもそれはそれでよいと現状を肯定しており、近所づきあいが煩わしいという人は非常に少ない。
11) 定住度の高い人びとは多くの人と仲よく暮したいといっているが、移住希望者になると互いに干渉しないで暮したいという人が倍増する。
12) 都市における人間関係の希薄さは、近所づきあいに依存度が低く、互いに干渉しあわないで暮したい人が多いことに原因があることが、本調査の結果認められた。

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