家政学雑誌
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圧力鍋の炊飯特性について
渋川 祥子
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1976 年 27 巻 2 号 p. 92-99

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抄録

圧力鍋による白米の炊飯について検討し次の点が明かになった.
1) 予備浸水した米に126%の水を加え, 内鍋を使用し外鍋に180ccの水を加え, ノズルから蒸気が出はじめるまで強火, それ以後弱火で5分程度加熱し, むらし時間15分程度で炊飯できる.
2) 圧力鍋炊飯は, ガス自動炊飯器による場合と比較しガス消費量, 所要時間とも, 特に利点はなかったが, 電気釜炊飯に比較し所要時間は短い.
3) 圧力鍋による飯は, 粘りが強く黄味をおびている.圧力鍋は高温加熱のため, でんぷんのα化が十分に進み老化も起りにくい. また, 飯粒周囲部の組織が崩壊し付着するでんぷん量も多いため, これらが粘りの原因と考えられる.
4) 内鍋を使用しない場合は, より粘りの強い, 飯粒中の水分のより不均一な飯になり炊飯方法として適当でない.
5) 圧力鍋による炊飯の特長は, 硬質米よりも軟質米でより現れる. 粘りの強い米の圧力鍋炊飯は, ねばりが強すぎて好まれないため, 圧力鍋炊飯はねばりの少ない古米や硬質米の炊飯に適する.

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