家政学雑誌
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集合住宅居住者の実態と住環境条件に対する意識の研究 (第1報)
設計・室内・室外環境および生活関連施設等の検討
泉谷 秀子志水 暎子大野 庸子島田 裕子
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1978 年 29 巻 2 号 p. 101-106

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抄録

この研究は名古屋市内の300戸以上の団地を対象に, 集合住宅居住者の実態と住環境条件に対する意識を調査し, 住要求をあきらかにして今後の団地建設や住み方の改善に役立てることを目的として次の結果を得た.
1) 居住年数の比率は1~5年未満 : 5~10年未満 : 10年以上が2 : 2 : 1, 約7割が2寝室以下の住宅, 夫婦+子供の核家族である.
2) 住環境条件の評価は「小学校の便」「買物の便」等の生活関連施設の評価が高く, 「広さ」「夏の暑さ」「結露」「ゴキブリ」「駐車場の便」が低い.
3) 「夏の暑さ」は最上階に, 「冬の寒さ」「カ・ハエ」は1階に, 「部屋の明るさ」「日当り」は下階になるほど不満が強い.
4) 木造アパートからの転居者は, 現住宅の評価が高く, 特に「日当り」「室の明るさ」「カ・ハエ」を好転項目にあげている.
5) 独立住宅からの転居者は, 室内騒音の感じ方が強い.
6) 一般に室数が少なくなるほど「広さ」に対する不満は強く, 最も多い2DKタイプの居住者の半数は不満に思っている.
7) 2Kに住む「夫婦+子供」の世帯の8割は狭いと思っており, これが世帯持ちの入居基準の最低のものであるとはいえ, 基準が低すぎる.
8) 「狭さ」解消のためには, 4DKを世帯持ちの標準間取りとするよう要望する.

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