家政学雑誌
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大根おろし辛味成分の消長について
江崎 秀男小野崎 博通
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1982 年 33 巻 10 号 p. 513-520

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抄録

1) ミロシナーゼ作用を阻止させて調製した大根おろし中には, 辛味成分である遊離のイソチオシアナート類は検出されなかった.
2) 大根においては辛子油配糖体を分解してイソチオシアナートを遊離させるミロシナーゼの作用にはAsAの存在が必要であることがわかった.
3) 大根おろし調製後, イソチオシアナート量は時間の経過とともに著しく減少し, その減少速度は大根おろしを調製した直後が最大であった.大根を切断して, 上部, 中部および下部の各部位について比較すると, イソチオシアナート量が最も多い下部においてその減少速度も最大であり, 大根おろし調製後30分で半減した.イソチオシアナートの減少したものは, 官能的にいわゆる「気の抜けた」状態を呈した.
4) 大根おろし中のイソチオシアナートの減少は, 三杯酢を添加することによりやや抑制されたが, その原因は三杯酢の中の酢酸によることがわかった.
5) 大根おろしを放置すると, 時間の経過とともにイソチオシアナートが減少し, これと相対的にメチルメルカプタンが生成し, 次にメチルメルカプタンが減少するのにつれてジメチルジスルフィドの生成が増加した.これらの変化を大根の部位別にみると, 下部において最も著しく, またジメチルジスルフィドの生成はAsAの共存によって抑制され, 臭素ガスによって増加した.
6) 大根搾汁液をエーテル抽出して得たイソチオシアナートを水溶液として室温に放置した場合の, イソチオシアナート, メチルメルカプタンおよびジメチルジスルフィドなどの経時的変化は, 反応速度に多少差がみられるが, そのパターソは大根おろしの場合とほぼ一致した.すなわち, これらの変化は非酵素的にも十分進行することが認められた.これらのことより, 大根おろし中の辛味主成分であるトランス-4-メチルチオ-3-ブテニルイソチオシアナートは揮散に加えて非酵素的にも分解が進み, 分解産物の一つであるメチルメルカプタンは, 酸化によりジメチルジスルフィドを生成することが推察された.

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