抄録
運動競技者の短期間の減量について, 栄養面より適切な方法を検討するため, 女子器械体操競技者を被験者として前回は40日間自由に減食させた結果, Ca, FeおよびビタミンAの摂取量が著しく少なく, 尿中総窒素排泄量の増加より体タンパク質の消耗が懸念されたため, 今回は栄養素のバランスのとれた指示献立に基づいて35日間減食させた.その結果は次のとおりであった.
1) 栄養素の摂取状況はエネルギー1,258±177 kcal, エネルギー比はタンパク質17%, 脂肪21%となり, 脂肪は制限してミネラル, ビタミンを十分とる目標はほぼ達成できた.
2) 減食によって体重は平均3.6kg, 体脂肪は2.9kg減少し, 体重減少量にしめる体脂肪減少量の割合は86.3%となり, 前回の79.1%より上昇した.
3) 減食後A/Gは有意に (p<0.05) 上昇し, 尿中総窒素排泄量 (Cr比) は減少して前回に比して改善された.またドナジオ反応陽性物質の測定より減食による疲労の増大は認められなかった。