抄録
既製服のサイズ設定の基礎として, 身長の大小によるプロポーションの変異をとらえることを目的とし, 25 ~ 69 歳の男子 4,278 例, 女子 4,123 例を対象に身長と他の 6 項目について変異のアロメトリーの適用を試みた.結果は以下のとおりである.
1) とりあげた 6 項目のうち, 胸囲, 胴囲, 腰囲の周径 3 項目は男女とも身長との相関が低く (0.0 ~ 0.3), 回帰傾向が小さいかまたは認められない.したがってこれらについてはアロメトリーの効果が期待できないと考えられるため今回は検討の対象外とすることにした.
2) 下肢長, 袖丈, 背肩幅の対身長アロメトリーについてみると, 女子の袖丈が 2 相であるのを除き, 他はすべて単相アロメトリーである.
3) 3 項目とも α は正を示し, その値に性差はほとんど認められない.また四肢では男女とも, ほぼ α に下肢長>袖丈の関係が見いだされた.