家政学雑誌
Online ISSN : 1884-7870
Print ISSN : 0449-9069
ISSN-L : 0449-9069
クッキーのショートネスについて
正弦波運動圧縮による破断特性値と官能評価との関係
和田 淑子倉賀野 妙子滝本 美幸
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 36 巻 2 号 p. 87-92

詳細
抄録

クッキーについて正弦波運動圧縮による破断試験を行い, 得られた破断特性値を定速圧縮破断の工合と比較し, さらに官能評価による硬さ, もろさの指標としての可能性を検討した.クッキーは27種類とし, 正弦波運動圧縮破断はレオロメーターによった.破断特性値の算出に必要なプランジャー速度は, クッキー圧縮開始時と最大応力点でのおのおのの速度を求め, 両者の平均値とした.
1) 正弦波運動圧縮によるみかけの破断応力Pf・s は0.76~3.62×107dyn/cm2で, 定速圧縮の破断応力pf・cより若干小さい値を示した.しかし, 材料配合比による傾向は両者ともほぼ同じ傾向を示しており, Pf・s=0.53Pf・c+0.38を得た.
2) 正弦波運動圧縮によるみかけの破断エネルギーEn・sは0.86~5.85×106erg/cm3で, 定速圧縮の破断エネルギーEn・cとの間にEn.s=0.99En・c-0.09を得, ほぼ同じ値が得られた.
3) 官能による硬さの評価値SHと正弦波運動圧縮によるみかけの破断応力Pf・sの対数, 同様にもろさの評価値SBと破断エネルギーEn・sの対数は有意の直線関係にあり, おのおのSH=6.1010gPf・s-1.28, SB=-3.00logEn・s+0.91の回帰式を得た.定速圧縮破断と同様, 正弦波運動圧縮による破断特性値が, クッキーの硬さ, もろさの程度をかなりの精度で評価できることが推測された.とくに, クッキーのもろさの評価は荷重力に抵抗する力で表すより, みかけの破断エネルギーでの解析が適していることが示唆された.

著者関連情報
© 社団法人日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top