日本家政学会誌
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スポンジケーキの粘弾性におよぼすバターと卵の配合比率の影響
越智 知子土屋 京子
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1987 年 38 巻 12 号 p. 1063-1067

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抄録

バターと卵の配合比率が異なるスポンジケーキのレオロジー的性質を測定し, あわせて官能検査を行い検討した.材料配合比率は全量に対して小麦粉20%, 砂糖25%と一定にし, パターと卵の比率をAは3%と52%, Bは7%と48%, Cは14%と42%, Dは19%と36%の4段階に設定し試料とした.
1) 静的粘弾性測定装置により, クリープ曲線を得, 粘弾性解析を行った.スポンジケーキはフックの弾性体, ニュートン粘性体および3組のフォークト体から成る, 8要素のフォークト型粘弾性模型で示された.弾性率 (E0, E1, E2, E3) は104~105dyn/cm2, ) 粘性率 (η1, η2, η3, ηN) は105~108Pであった.A, B, C, Dの順に各要素の粘弾性率は増加し, DはAの4~5倍に増加した.遅延時間に顕著な差はなかった.
2) テクスチャー特性値測定では A, B, C, Dの順に硬さが増加したが, 弾力性, 凝集性は漸減した.
3) 官能検査の結果, 手で圧したときの硬さの順位は客観測定の弾性率, 粘性率, テクスチャー特性値の硬さとよく対応したが, 食べたときの硬さの順位は客観測定の弾性率, 粘性率, テクスチャー特性値の硬さと反対で, 口どけの順位とよく一致し, 食べたときの硬さの感覚は口どけの影響を強く受けたと考えられる。比容積はA, B, C, Dの順に減少した.
4) 品質のよいスポンジケーキを作るための, バターと卵の最適配合比率は, 本実験における諸特性値の総合的物断によれば19%と36% (D), および13%と42% (C) であった.

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