日本家政学会誌
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カボチャのカロチノイド蓄積
近 雅代榛葉 良之助
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1988 年 39 巻 10 号 p. 1059-1064

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抄録

エビスカボチャを栽培し, 成熟中および完熟後10℃, 25℃で冬至まで3カ月間貯蔵することによって果肉のカロチノイド組成がどのように変化するかを色調との関係で調べた.
1) 成熟過程においてクロロフィルは果肉色が黄緑色から黄色に変化するにつれ減少し, 完熟時の黄燈色時には消失した.カロチノイド量はクロロフィルの減少につれ一度減少した後完熟時には急増した.
2) 貯蔵中にカロチノイド量は急増し, 3カ月後には10℃で完熟果の2.4倍, 25℃で3.7倍となった.赤色度を表すα値は貯蔵中増加し, α値とカロチノイド量との間には10℃で0.883, 25℃で0.922の相関が得られた.
3) 完熟時のカロチノイド量は6.2mg/100gでそのうちルテイン63.9%, α-カロチン10.9%, β-カロチン7.8%, アンテラキサンチン6.0%, ビオラキサンチン4.3%, α-クリプトキサンチン2.6%, オーロキサンチン1.8%, ζ-カロチン1.6%, ネオクローム1.2% であった.
4) 成熟過程においてルテイン, β-カロチン, ビオラキサンチンは総カロチノイド量と同様, 一度減少した後増加する傾向を示した.貯蔵中においてはルテインの増加量が著しく多く, その他β-カロチン, アンテラキサンチン, α-クリプトキサンチン, ネオクロームも増加傾向を示した.しかしα-カロチンのみ2カ月後に消失した.
5) ビタミンA効力は成熟過程において一度減少した後増加し, 完熟時には450 IU/100gであった.これを冬至まで3カ月貯蔵すると10℃では4.3倍, 25℃では4.9倍にも増加した.このことからカボチャは貯蔵中にカロチノイドの生合成が進み冬至まで保存するとビタミンA効力が増加することがわかった.

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